ピアス

努力だとか誠意といった
僕の特技ではどうにもならない
そんな瞬間がやってきた

最後はなんとかなるだろう
大団円が待っているんだと
思っていた僕を現実が笑う

心にぽっかり穴が開く
夜空に浮かぶ満月みたいに
全てを失ってしまった
星の見えない夜空みたいに

引っ掻かれた手の甲や
擦りむいた膝みたいに
簡単にはふさがらない
頼みの時間に任せても
その前に膿んでしまう

穴は塞がらないままで
心の傷は癒えないままで
僕は日常に立ち向かう

無駄なことなんて一つもない
無駄な時間なんて一秒もない
だから僕は僕のままで
痛みも傷も抱きしめて
今日も僕は僕を生きる

心にぽっかり開いた穴に
ピアスをつけるように
今日も僕は僕を生きる

22/10/17 20:41更新 / 平沢小歌
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