やわらかぷりんの唄
思い出はいつか
ナイフにかわるから
なるべく少ないほうがいい
意味も価値もない命を
今日もすり減らす
「君が生きてていい時代じゃないよ」
そう言われた気がした
やわらかいぷりんが好きだった
でも本当は
すこしかたいぷりんの方が好きだった
なくすのは悲しいから
自分から手放すことにした
悲しいことにはかわりないけど
あきらめたぶんマシな気がした
今までの生き方が間違っていたとして
引き返そうにも道がない
「君がいていい世界じゃないよ」
そう言われた気がした
生きる勇気も死ぬ勇気もない
中途半端にぶら下がっている
しょせん薄皮一枚切るのが精一杯
中途半端にぶら下がっている
たまごと牛乳とグラニュー糖は
ぷりんになるというのに
今日も僕はこのザマだ
あのぷりんはやわらかいのだろうか
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