鉛を抱える
眠ることが怖い夜が来るなんて思ってもみなかった
だってそうでしょう
一人でこの夜を信じろというの
この胸に巣食う錆びた鉛を抱えて眠れというの
確かに横隔膜を破らんとする金槌の重さを何時まで宥めればいいの
惨めに丸めた背を誰が隠してくれるというの
融通の利かない肉の重さや温度をどうやって誤魔化せばいいの
重いわ
どこにも行けない
胸に巣食う錆びた鉛が床に沈もうとする
呼吸をする度に横隔膜の金槌が主張する
長年仲良くしてきたのに私、重力に疲れたみたい
この重さが夜を不安にさせる
体の存在を認識させられ自己の熱を感じる
最悪
体の内側に金属がある
錆びて錆びて
たまに食道を押しつぶすから
横隔膜を突き上げるから
寂しくないと呟いては結局目を閉じる
弱虫
一人で夜を明けれない私は一人で夢を見るハメになる
つまらない
つまらない
お願い、暴れないで
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