春の突風

太陽も隠した春の風は
無限大に熱を奪う
自転車で凍えた僕のうなじは
山頂の記憶を呼び覚ます

分を刻んで変わる風は
僕からいろいろ言われる
向かえば「死ね」、横だと「煽るな」
当たりが強くてお互い様だ

気まぐれに後ろに回って
びゅうと突風吹いたら
「その調子だ 僕を運んでおくれ」
本当にいろいろ言われてる

ジェット気流に抗いながら
諦めて翻るカラス2匹
図らずも一緒の方向で
仲良く流されて帰る

暗雲も即座に流されて
ゲリラ雨は時間を超える
稜線に並ぶプロペラは
心底嬉しく回る 回る

体温を奪う春風は
どこかの陽向で生まれたという
そんなに奪ってどこへ行く
プロペラの向こう 寒い方へ
熱を運んで 寒い方へ

23/04/28 14:52更新 / でんしん
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