裏口の脇の花壇には
アネモネが眠っている
この子たちを見るまで私は
死ねないんだなぁ

帰ってくるたびに
横目に見るたびに
それを思い出す


納屋の戸棚のフックには
ひまわりが眠っている
この子たちを蒔くまで私は
死ねないんだよなぁ

ひまわりが咲いたらコスモス
次は何を植えよう
楽しみと契約していくんだ


会えなくなった人々
会わなくてもいいことを知る
それでもわざわざ会うことに
今まで意味があったんだ

スマホのカレンダーアプリには
年度末まで予定が入っている
生きる契約を果たすまで私は
死なないんだよなぁ

ちっぽけに湧き上がる
消えたいこの気持ちなんて
何かと繋いだ絆で
いともたやすく蹴散らされるんだよなぁ

21/09/20 12:29更新 / でんしん
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