悪夢
真夜中 1本の電話
違った ここは夢の中
僕のよく知るあの男だ
やっと会えた あの時から
命すら奪う諍いに耐えかねて
ついぞ仕事を辞めるつもりらしい
引き攣り声で続く自白
やっと弱音を吐いてくれた
受話器の向こうは涙の大洪水
言い慣れていない言葉ばかり耳を伝う
嬉しくって僕は、全ての慈愛で
「大丈夫だよ 」と言った
言えなかった
言えなかった
言えなかった
結果だけがそこに残った
なぜ今更こんな夢を見せた
起き上がって 握る拳
やるせなさと上着を羽織り
自分の人生を生きる
人々を救うヒーローにだって
救われる権利はあるんだ…と
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