昼月
寒空に浮かんだ雲のように霞む月
夜の暗がりから引っ張り出されて
忘れないようにと そこにいる
去った後も思い出は温度だけ消えずに
机の奥底にしまった手紙も
光り輝いて そこにいる
君が持っていった光の半分は
今やどうしているだろうか
ポケットの中の懐中時計
そんな風に忘れたなら それでいい
空に溶かしても消えてくれない
ただ広がるだけの思いは
吹けば飛ぶような祈りを乗せて
宙を漂っている
未練と言われたって それでいい
あの日にできた無限の夢が
夜の暗闇からはみ出して
真っ昼間っから そこにいる
未練と言われたって それでいい
満月の形の消えない霞が
いつかの君に見せるために
誇らしく飾られている
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