花火大会

すり減らした時間のあとで
ギリギリの余力がほんの少し
そこを輝く意味は問い続く
人生ってけっこう難しい

やめてしまいたい衝動の中
家を飛び出し 駅へ向かう
数ヶ月前の自分に手を引かれ
救ってくれたような気分がした

人だかり 会話などぶった切り
遠くで始まりを告げる轟音
遥かな大気 一直線に突っ切って
どんどん 揺るがされる心臓
扉を叩かれている
まるで こじ開けるように

生まれて死ぬ たくさんの火花
僕は人生を見ている
たまには涙を流せよと語るように
激しく空を照らした
予想だにしなかった
こんなに鮮やかな閃光が
ほんの数秒後 待っているなんて

光の数 生まれた轟音が
生きる一瞬を見ろと叫ぶ
そして目が離せないでいる

すぐ死んだ小さな火花は僕を
明日まで連れていってくれる
だって知らなかったんだ
こんなに健気なきらめきが
僕に見てもらうために咲くなんて

見上げた先に まだ知らない輝きが
こんなに残っているなんて

24/09/01 08:01更新 / でんしん
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