from route 123
宇都宮という町がある。
夏はうだるほど暑く、夕方になるとスコールが降り雷が落ちる。冬は血液が凍る程芯まで冷える。温暖化と氷河期のハイブリッドだ。
誰かが鬱の宮と言っていた。風評被害甚だしい。風はあまり吹かない。
餃子が有名だが、実はカクテルとジャズの町でもある。
学生時代に4年間住んだだけだけど、僕はこの町がたまらなく好きだ。
思い出がそうさせるのか、目に馴染む景色、肺に溶ける空気、心に沁みる雰囲気を思うと恋しくて仕方がない。
特に冬の夜は格別だ。殺意剥き出しの尖った寒さが空気を浄化して町の透明度が上がる。人はいるのに何故か静かで自分の鼓動だけが時間を刻む。1秒を1秒と感じられる。他の町では味わえない。最も夜が似合う町だ。
しばらく行ってないけど、町は変わってないだろうか。
変わらないものはないって言うけど、
あの町の雰囲気とそれを感じる僕の心は変わらないで欲しいな。
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