煮詰まるため息

向かい合わせのダイニング・ルーム
少し濃い目の苦いコーヒーが
ポットの中 煮詰まり始めてる

 いつからだろう 黙りがちの日々
 出逢った頃の あのにらめっこには
 こんな重苦しさはなかったよね

ため息ついたっていいじゃないか!
僕はクラーク・ケントじゃないんだ
スーパーマンばかり求めないでくれ
お気に入りだったはずのポシェット
止め金のメッキが剥がれかけた途端
押し入れで終身刑もないものさ

 カーテンの隙間から流れてくる
 陽だまりを運ぶ春色の風が
 どうしてだろう 凍えるようだよ
 キミはまだポットを眺めたままで
 ため息ばかりが煮詰まってゆく

24/03/08 19:45更新 / 春原 圭
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