唇に届かない

抱き寄せて そっと唇に触れたなら
何かは変わっていたのだろうか…

 潮風にフリルとリボン揺らし
 ブリッジの上 キミが瞳閉じたのは
 コンタクトを気にしたからじゃなくて

もう あの陽だまりには帰れませんか?
みぞれ混じりの埠頭 僕ひとり

 サヨナラもないサヨナラの意味を
 確かめるように曇り空見上げれば
 まだ十代だったキミの寂しげな顔
 すぼめた唇に… 届かない

23/12/10 19:38更新 / 春原 圭
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