クランクイン再び

灯りの落とされた暗い部屋
ガラ空きの座席にひとり座って
同じ映画ばかり見てた
筋書きもすべて知り尽くした
セピア色した映画のストーリー
やるせない顔して見てた

 その時 不意にドアが開いて
 キミが笑って立ってたんだ
 光のまぼろしではない
 生身のキミが立ってたんだ
 セピアでもなく 天然色に
 温かく息づいてたんだ

開いたドアから射し込む光に
スクリーンは白くかき消され
僕の次回作はクランクイン
カチンコが勢いよく鳴った

23/11/18 19:51更新 / 春原 圭
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