ふたりの故郷

下流の街の灯りと引き換えに
ダムの底に故郷を沈めた僕と
根こそぎもぎ取られた線路と一緒に
故郷まで廃止されてしまったキミが
都会の片隅でめぐり逢う

 失くしたものを求め合うふたり
 キミの故郷になりたくて
 僕の故郷になってほしくて

その頬つたう 透きとおった涙
きらめきを放ちながら流れてゆく
僕はその灯りに照らされながら
キミへのレールをまっすぐに敷く

 都会の片隅の小さな部屋
 互いの故郷 確かめ合うふたり

23/11/10 16:03更新 / 春原 圭
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