キミが出て行くまで

キミが何か言ったみたいだったが
僕は全く変わらない顔で
鏡に向いて 電気カミソリ
ノドのあたりにすべらせていた…

 ホントはちゃんと聞こえてるのさ
 頼むから出て行かないでよって
 取り乱したいのはヤマヤマだよ
 ほらまたキミが叫んでる
 それはむしろ僕の方だよ
 そんなふうに気にすることはないさ…

キミがドアを閉める瞬間まで
両頬を右手でなでながら
コンセントでカミソリ充電して
傍らの新聞を手に取った…

 ドアの外 遠ざかるキミは
 そのあとの僕のザマは知らない
 それはもう キミは知らなくていい…

23/10/19 16:49更新 / 春原 圭
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