白い蝶が逃げた

可憐な白い翅に触れて
鱗粉にかぶれただけさ
赤くただれた心が痒くて
ひとりむずがるだけの日々

 虫ピンでつなぎ止めたまま
 展翅版にはりつけようとした
 すべては僕のひとりよがりのせい

君が逃げて行った虫かご
掻けば掻くほど血がにじむ心
春風はぱたりと止んだままで

 咲き乱れる色とりどりの花
 キミが気ままにヒラヒラ舞いおどる
 もう網を手にすることはできずに
 ただ見つけているだけの僕だった

23/10/18 18:07更新 / 春原 圭
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