そりゃないだろう仔猫ちゃん

夕立ちの街角 びしょぬれのキミ
雨の中で陽だまりみつけた気がして
家に来ないかと誘ったんだ
ひざで甘えながらじゃれる声も
おいしそうにミルクを飲む仕草も
何もない部屋にキミが運んできた
優しい季節のそよ風だったよ

 さよならの言葉さえ残しもしないで
 一体どこへ消えてしまったの?
 僕の愛情が重荷になったの?
 それとも飽きが来てしまったの?
 キミが引っかけた爪の痕は
 今も僕の手の甲に刻まれてるのに
 心だけが寂しさに塗りつぶされて
 ミルクの皿ひとつ 床に転がったまま

「そりゃないだろう 仔猫ちゃん」
僕は虚ろに蛍光灯見つめるばかりさ

23/10/06 18:15更新 / 春原 圭
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