刃物になれたら

鈍色に染まった空を見上げ
ひとり立ちすくむ 丘のいただき
全身に砂塵を浴びていると
北風の怒りがわかる気がする

 摂取する端から排泄する日々
 実らぬ生命に代謝はない
 気にもとめずに漂っていれば
 それですむことではあるものの

「こんな俺でも 刃物になれたら」
見上げる空は まだ鈍色に
分厚く立ちはだかっていた

24/10/21 17:52更新 / 春原 圭
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c