遠い滑走路

「エアポートは別れの舞台には
あまり適してるとは言えないな」
どこの窓にいるかも見えない
キミの顔をひとり探しながら
評論家みたいなことつぶやく
だって 手を振ってみたところで
キミに見えてるとも思えない
旗を振るのはマヌケもいいとこだ
ひとり 後ろの壁にもたれて
腕を組んだまま歌を口ずさみ
離陸を始めた飛行機を
視線で追ってるだけなのさ

 「だから列車がよかったんだよ」
 見る見る小さくなってく機体に
 僕の「元気でな」は届かない


24/10/09 19:23更新 / 春原 圭
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