海風
何もよりによってこんな暑い日に
サイクリングでもないだろうに
蝉時雨の中 ブツクサ言いながら
海沿いにペダルこいで走る
「暑くなければ意味ないんだよ」
やつは防波堤に俺を連れ出した
海風はとても冷たくて
肌の火照りをサッと運んでくれる
照り付ける陽射しがウソのように
僕を活き返らせてくれる
「どうだ とても気持ちいいだろう」
遠く浮かぶかきいかだ眺めて
相棒は髪をなびかせてる
僕は海鳥を目で追いながら
ひとときの幸せにひたってた
「けど相棒 帰りはどうすんだ?」
ふり向くと陽炎がゆらめいてた…
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