海風

何もよりによってこんな暑い日に
サイクリングでもないだろうに
蝉時雨の中 ブツクサ言いながら
海沿いにペダルこいで走る

 「暑くなければ意味ないんだよ」
 やつは防波堤に俺を連れ出した
 海風はとても冷たくて
 肌の火照りをサッと運んでくれる
 照り付ける陽射しがウソのように
 僕を活き返らせてくれる

「どうだ とても気持ちいいだろう」
遠く浮かぶかきいかだ眺めて
相棒は髪をなびかせてる
僕は海鳥を目で追いながら
ひとときの幸せにひたってた

 「けど相棒 帰りはどうすんだ?」
 ふり向くと陽炎がゆらめいてた…


24/08/30 14:22更新 / 春原 圭
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c