旅の風

ひとりで 旅に出かけてきます
各駅停車の 列車に乗って
草のにおいを かぎながら
暑い都会を 忘れてきます
避暑地の風の 心地よさに
思わず車窓から 身を乗り出して
体当たりしてくる 空気に向かって
大きな声で 叫んでみよう
そしたらきっと 別の自分が
息を吹き返すだろう

 人気のない ちっぽけな駅で
 ふと気まぐれに 列車を降りて
 ひとりホームに たたずめば
 忘れかけてたものが 見えてきた
 列車をふたつ やり過ごして
 ヒグラシの声が 聞こえる頃には
 落ちて行く夕陽に 白い頂が
 かき消されてク あの山並みよ
 また列車に乗り 窓際の席で
 夜風に身を震わせる

避暑地の風は 心地よくて
もう一度車窓から 身を乗り出して
果てしなく大きな 闇夜に向かって
大きな声で 叫んでみた
僕の叫びを 置き去りにして
列車は進んで行く

24/08/24 19:54更新 / 春原 圭
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