夕涼みの頃

先ほどまで あれほど強く
僕を苦しめ続けた太陽も
もはや西の彼方に落ちて
向こうに浮かぶ雲を染め始めた
ひとり浴衣で縁側にすわり
ふと 大空を見上げれば
どこからか聞こえる 蜩の声
何故 あれがカナカナなんだろう
僕にはキキキとしか聞こえない
そんな風に誘われて
吊るされた風鈴がチリリン
「夏は暑いばかりじゃないさ」
遊び疲れた子供たちが
それぞれの家に帰ってゆく
さあ 夕餉の仕度がととのった…

24/08/21 19:12更新 / 春原 圭
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