宵闇に舞う…
「ホタルなんか 生まれてこのかた
一匹たりとも見たことがねえや」
引き潮の川底から漂う
ヘドロの異臭に顔しかめながら
フナムシたちをじっと眺めてた
いくつもの川が流れるこの街
子供の頃 僕たちみんな
七つの川の冒険者だった
だけど 淡く輝く宝物が
今もみつけられずじまいのまま
オトナになってしまった僕たちは
花火片手に黙りこくってる
今 ぽとりと落ちた小さな光が
濃くなってくる宵闇の中
ふわっと舞い上がったような気がして
僕は思わず目で追いかけた
そしてまた異臭に顔をしかめた
TOP