宵闇に舞う…

「ホタルなんか 生まれてこのかた
一匹たりとも見たことがねえや」
引き潮の川底から漂う
ヘドロの異臭に顔しかめながら
フナムシたちをじっと眺めてた

 いくつもの川が流れるこの街
 子供の頃 僕たちみんな
 七つの川の冒険者だった
 だけど 淡く輝く宝物が
 今もみつけられずじまいのまま
 オトナになってしまった僕たちは
 花火片手に黙りこくってる

今 ぽとりと落ちた小さな光が
濃くなってくる宵闇の中
ふわっと舞い上がったような気がして
僕は思わず目で追いかけた
そしてまた異臭に顔をしかめた

24/07/26 19:34更新 / 春原 圭
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