ぬか床のキミ
十年ぶりに顔を出したクラス会で
はじめは誰だかわからなかった
そんな僕の態度に 一瞬悲しそうに
唇をすぼめる仕草で 初めて気づいた
ぬか床に漬かりすぎちゃったんだね
今もまだひとりでいる僕には
辛さと酸っぱさがきつすぎるよ
校舎の裏 秘密のクスの木の下で
そよ風におさげ髪なびいた頃の面影
今さら期待なんてしてなかったけど
それでも 旦那さんと子供たちと
僕の知らない香りに満ちたぬか床で
確かにキミは幸せに染まってる
だから 悲しい顔する必要はないよ
すっかり漬かったキミでよかった
僕もいつか自分のぬか床を作るさ
あやふやな想い出に見切りをつけて
TOP