王子様は僕じゃなかった
無理にローン組んで調達した白馬
今いちカッコよさは足りないけど
僕の収入ではこれが精一杯
衣装だんすをひっくり返して
選びに選んだ服を身につけ
四畳半のお城から いざ出発
白馬にまたがり 颯爽と
姫のもとまで まっしぐら…
友達半分 残り半分
超えられそうで超えられなかった季節
きっと この日のためにあったのさ
はやる心をおさえつつ
キミの窓辺に 白馬で乗りつけた…
「迎えに来たよ」僕の言葉に
ちょっと困った顔のキミ
ふと横を見ると 僕のとなりに
見たことのない白馬が一頭
眩しいくらいに毛並輝かせ
凛として立ってるではないか
窓の中 キミの後ろから
「どうした?」キミを呼ぶ男の声
キミの左手に目をやると
僕には到底手が出ないほどの
大きく輝くダイヤの指環…
王子様は僕じゃなかったのか
いい友達の半分さえも
しゅるしゅると音を立てて溶けてく
王子様は僕じゃなかったのか
閉ざされたガラス窓に映るのは
メイクの崩れた笑えないピエロ…
白馬にまたがり とぼとぼと
四畳半のお城へ引き返す
僕の一張羅 背中にほころび
傾いた夕陽 逆光のシルエット
閉ざされた窓の向こうのキミには
そんな姿は映るはずもなく
超えられそうで超えられなかった季節の
しっぺ返しを グッと噛みしめる…
王子様は僕じゃなかったのか
それでも幸せ祈るよだなんて
心の広い男じゃないから
王子様は僕じゃなかったのか
いい友達の あと半分も
残らず ここに捨てて行こう…
TOP