ディオニュソスの夜

「僕じゃ力不足だって言うのか!」
あいつにもらった黄色い帽子
酔いにまかせて キミの頭から
無理に奪って 夜空に投げ捨てた

 キミの心はあいつを向いたまま
 外側で僕は酒びたりのまま
 いくつ星座が入れ替わっただろう

テセウスに置き去りにされた埠頭
空へ舞い上がる 北のかんむり座
泣き崩れる 哀れなアリアドネー

 手を離すと キミが身を投げそうで
 僕は 背中から強く抱きしめた
 朝には振り向いてくれることを
 酔った頭の隅で願いながら

24/03/20 18:42更新 / 春原 圭
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