曇り空のふたり
どんより曇った空を映した
千秋公園の外堀を眺めながら
キミは切なそうにため息ひとつついた
「田沢湖まで車飛ばそうか?」
僕の提案に キミは首を横に振って
黙ったまま 僕の方にもたれかかる
週末の特急列車に揺られながら
都会から逢いに来てくれたキミには
何もないこの街はきっと退屈すぎて
帰りの列車の時刻は容赦なく
一歩ずつ僕たちに近づいてくる
「竿灯祭りの頃にまたおいでよ
駅前からここまでまっすぐにさ
提灯をいっぱいつけた竹竿がね…」
何とかキミの笑顔を引き出そうと
饒舌になる僕をあざ笑うみたいに
雲は分厚くなってく一方で
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