喫茶店の鐘
年季の入った木製テーブル
表面をなぞるとボコボコしていて
それでもパフェのグラスが倒れないくらいの
このバランスが心地良い
持ち手に装飾のついたスプーン
飾られた写真と名も知らぬ絵画
誰が置いていったか解らない本
小さな花をつけた鉢植えの植物
Fから始まってB♭に続くミュージック
回るオルゴール
手入れされた蓄音機
控えめに踊るコンボ
どれから鳴っている?見えないけれど
食器が重なる音
浮足立った氷の連鎖
その全てと噛み合う
午前十時を知らせる鐘の音は
遠くの壁に掛けられた鳩時計の囀り
E♭から始まってA♭に続くメロディー
緩やかなスウィングにつられ
五線譜の上では不協和音
トーンチャイムが奏でる朝の空気
作られた音楽に揺さぶられはしない
不均衡の時報に
その声の「生命」を
鳥の歌の「生活」を
窓を開く鳥によく似た
明るい色のフルーツパフェ
誰もが約束を知らない
喫茶店は生きている
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