頬の宝石
いよいよ上着を手放せなくなり
長かったようで、いや
ずっと長い夏が終わった
秋は随分と儚いもので
間もなく冬がやってくる
凛と冷えた空気に触れ
君の頬は紅く熟れていくだろう
乾いた手を擦りながら
吸ってもいない煙草に似た息を
薄暗い白に霞んで吐いている
「これからもっと寒くなるね」
そう笑う君を見て
紅くなった僕の頬は
冷えた空気がそうさせたのか
着込んだ服が熱を帯び
早々に立ち上がりたくなる
少し上げた視線の先
君の頬が風に反射して
どんな宝石より綺麗に
複雑に屈折した
そんな冬が、今年も
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