ぬるい風

階段状に並ぶ煉瓦造りの道を
ふらふらと宛もなく歩く

鼻をつんと突く銀杏の香りに
秋の顕れを感じ目を瞑る

薄手の上着を詰めた鞄は重く
夏服がぬるい風に濡れる

肌寒くなった朝の遊歩道には
夏の忘れ花が咲いていた

透ける葡萄の蔦が纏わる様に
まだ熱い昼の光を浴びる

薄紫の雲は夕どきの嗜好品か
月をなぞり消す指の先が

帰りを待つ人と烏と猫の群れ
少し急かした夜に消えた

25/09/28 01:14更新 / しゃぼん玉
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