砂漠の涙
校庭。
体育が嫌いな私にとって、学校でも特に行く理由のない場所
毎日毎日、どんな言い訳を付けて、校庭に出るのを回避できるか考えていたけど
もう、ここに来ることもないんだな
3年間、一緒に過ごしてきた友達
大事な受験期を乗り越えたクラスメイト
いつでも相談に乗ってくれた部活の仲間
放課後によくお喋りしていた先生
毎日学校にくる理由になっていた君
その全部が校庭に集まって、最後のドッヂボール大会を楽しんでいる
まだジャージを脱ぐには寒い。そんな時期
幾分か柔らかい光をたたえて、青い影を落とす
なるべく踏まないように生きてきた砂漠に、少しでも永くいる為に、私の影も青く、涙を一滴零す
春が来ればきっと
花吹雪が背中を押すのだろう
今はまだ、肌をつつく風が
あの青に私を入れてくれる
校庭。
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