無言の亡霊

教室の隅、君の背を前にして、空気を噛む。
耳に入らない授業をシャーペンで突く午後。
黒板を見るフリをしてなぞるカーディガン。
真剣にノートを取って前に屈んだ編み目の。
深い紺色を揺らし、振り向く君のストロボ。
咄嗟に跳ねる体躯、飛び出す意識の向こう。
逸らした視線の先、浮き立つ気持ちの顕れ。
僕の心を知らず笑う君の頬が何より眩しい。

25/08/11 00:21更新 / しゃぼん玉
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