誰か
自分らしさというのは
いつから始まったのだろう
思えば、小学校の道徳で
「自分らしく生きよう」なんて
誰かが言っていた記憶がある
それからずっと
考えながら歩んできたものだが
いまでも道に迷っている
髪が長いから
身体が細いから
男の子を好きになったから
気分が雲のように揺れるから
全部が正解で
全部違うのかもしれない
ひとつ、自分の中で答えを出したとすれば
誰かになるためには
既に歩み過ぎてしまったということだ
こうしてそれらしく言葉を並べるほど
誰かの、それらしい言葉が蘇る
「そうやってらしい言葉を理屈のように並べるの、
やめたらどうだい」
録音された声というものは
いつも他人の声のように聞こえる
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