朝の木漏れ日のなかで、ともに
あの晩秋の昼下がり
私は林の傍の小道を
アパートへと向かって歩いていた
木々は色づいていたろうか?
それさえ定かではない
哀しいくらいに
おおらかに揺れる世界に夢中で
肌寒い大気さえ感じられればよかった
ジャケットの紫に吸い込まれるように
夢見る惑星の夢を見た
胸のなかで
黄の混じった緑の葉が
巨大な雫のように落ちる
すると大地には薄緑色の大気が
水面のようにそこはかとなくたゆたった
また仄暗い早朝を思い出しながら
どうしてだか紺の半袖シャツを着た女神の
浮かび上がる夢のようにまろやかな膨らみに打ち震えた
その夕刻に私は
胸を穿つような寂しさに
押し出されるようにケーキ屋に行った
お姉さんの懐へと夕焼けを駆けた
白熱灯のオレンジのさなかを
さざ波のように笑顔が寄せた
薄紫のガウンに
褐色の頬
わたしは小さくなってしまった
甘酸っぱくて仕方がなかった
そうして私はモンブランを手に
同じように林の傍の小道を歩いた
敷かれた葉の茶を街灯の下にたしかに見た
こじんまりとした愛らしい夜に
小さなものをやさしく象る愛を想った
私はお姉さんと連れ立って
ともに林を散策したいと強く願っていた
せせらぎのように日々を流れ行くことについて
朝の木漏れ日のなかで語り合いたかった
夢見るようにひんやりとした微風に
そっと肌を撫でられながら
小箱のなかのモンブランの
淡く儚い
謙虚な黄
迎えられた私は初めて
秋へと身が浸された気がした
一陣の風が
胸をそっと駆け抜けようとしていた
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