ドイツを歩く
それは夢幻の国ドイツ
橙色の煉瓦造りの家々に
花々ちょこちょこ咲いている
そんな秘密の場所でこっそりと
彼女は父と手を繋ぐ
夜の街灯花びらゆらゆら揺らめいて
少女は頼りなげにふらふら歩く
藍色の上着の壮健な男へと
彼女はなぜだかアオザイを着ていて
その透き通る水色は彼女を健気な蝶にする
気恥ずかしげに彼女の右手は二本指だけで繋がって
それでも彼はひょいと彼女を浮かせてしまうかのよう
ヒールは高すぎるのに見上げる彼女
頼もしい胸板に胸の琴線が掻き鳴らされて
見つめられると雷鳴が轟くけれども
盗み見たならば深く澄んだ海に包まれるよう
美しく妖しい蛾となれるのはいつだろう
私は父をしかと見つめ返して海に焔を灯したい
艶めかしい金粉を輝かせながら
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