装いと言葉
早朝は20℃を下回るようになって、人々の装いも長袖がスタンダードになってきた。装いの季節。服の着方って人それぞれなんだなと、当たり前のことにハッとする。そうしてみなが冬という季節にかけて、自分自身へと還ってゆくー匂い立ち始めた各々の個性を感じるにつけ、この秋の入り口(といってももう、10月の半ばではあるのだけれど)はそんな現象の端緒なのだと思えてくる。
"ありのままの自分"なんて言うけれど、ありのまま(≒裸)から離れれば離れるほどにその人らしさが現れてくるようなのは、考えてみれば不思議だ。「装い」というものの、あのれっきとしたニュアンスは、何なのだろう?鏡の前に新調した衣服を身に着け自身に見入る、あの瞬間。あの時たしかに出逢っていた、新しく新鮮でありながら、それでいてどこか懐かしくもあるような、自分。
もしかしたら、詩作も同じなのかもしれない。言葉を装うことを恐れないこと。遠慮しないこと。コテコテの装いの隙間から、可愛らしく素朴な自分が覗いているーたとえばそんな詩は、その事実だけできっと人を、そして自分を、癒やし得る。
言の葉を着飾れる人になりたい。
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