夏蔭 夢の序章


夏蔭にこの身浸してたそがれる
セミたちの声は哀しくも僕を
遥かなる空の青へと開いてくれる
ちっぽけでささやかな生だからこそ
和やかなトーンの下ではきっと歴史刻んでいけるさ

ちょっぴり物哀しい夏の夕暮れの光のさなか
ひとたび語らい始めるや〈時〉が沈みゆく
いつの日にか大切な女(ひと)とともにできるのだとしたら
十年一日のごときこの日々こそが
静かでたおやかな夢の序章になる

地の果ての理想郷でも
ここではないどこか、でもない
汲めども尽きぬ女(ひと)の胸にこそ
夢は

遠い明日から夢の雫が煌めき滴る
時空を渡り来る戯れの旋律は
儚げで甘やかな木漏れ日となって胸に住まう

移ろいゆく季節を
ずっとずっと見つめていたい




24/08/18 06:48更新 / はちみつ
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