夏蔭 夢の序章
夏蔭にこの身浸してたそがれる
セミたちの声は哀しくも僕を
遥かなる空の青へと開いてくれる
ちっぽけでささやかな生だからこそ
和やかなトーンの下ではきっと歴史刻んでいけるさ
ちょっぴり物哀しい夏の夕暮れの光のさなか
ひとたび語らい始めるや〈時〉が沈みゆく
いつの日にか大切な女(ひと)とともにできるのだとしたら
十年一日のごときこの日々こそが
静かでたおやかな夢の序章になる
地の果ての理想郷でも
ここではないどこか、でもない
汲めども尽きぬ女(ひと)の胸にこそ
夢は
遠い明日から夢の雫が煌めき滴る
時空を渡り来る戯れの旋律は
儚げで甘やかな木漏れ日となって胸に住まう
移ろいゆく季節を
ずっとずっと見つめていたい
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