懐かしい夢

君はいまもあの町で、日々を―
と書き始めるや僕の胸はもう
抑えがたい郷愁で溢れ出しそうで
あの町でいまもあの亜麻色の髪が
遥かなる風に吹かれている
ただそれだけのことがどうして
こんなにもこんなにも愛おしいのか

情けないね
移ってきた当初はこの街がサイコー!
って思ってたのに
今ではなんだか
その大きさを持て余してる感じで
君の住んでるこじんまりとした
でもオシャレでハイソな住宅地が恋しいよ

「都会に行きたかった」は強がりで
「君のことを忘れたかった」が本当の理由で―
なんて、さすがにそこまで情けなくはない
つもり

それにしたって皮肉だね
500kmも離れたってのに
半径2mの君の面影といつも戯れている
でもこの街に君は似合いやしないから
500kmの距離を飛ぶのはいつも僕で
いつもあの町で2人笑い合って
君を忘れるどころじゃない
 
あの小さな君に似合った可愛い軽で
またあの公園に連れて行ってほしい
秋も終わりの頃に2人訪れた、あの公園

秋が刹那なら
夏は永遠

うんと暑い夏日に2人
木蔭で遥かな風に吹かれたなら
君は僕に何を語ってくれるだろう
僕は君に大切なすべてを語れる気がする

君が好きだと言っていたクマゼミの声に
抜けるような青い空
僕たちの胸は静かに開かれてゆく
愛という名の、懐かしい夢へと


24/07/21 06:34更新 / はちみつ
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