夏風と君

あの日々の哀しい美しさが
君と離れてなお燃え上がる

誰にも愛想がいいのに不思議と
君と心から親しくなる人はいなかった
そんな君は透き通るような孤独のうちに
まるで女騎士みたいに作業をしていた

亜麻色の瞳 想い出す
それは春の訪れを待つ湖面
あどけないのに
中学生みたいな幼声なのに
君はいつも薄氷のように張り詰めてたよね

ホントは寂しいんでしょ?ってそう声を
かけたくってかけたくって仕方なくって
でもリフレインさせてるだけの1人芝居で

「〇〇さん」って呼んでくれたワンシーンを胸に抱いて
僕は霜の大地に佇んでいた
なんでこんなに世界は美しいんだろう?って
叶わないほどに世界が君が切ないくらいに甘くなり

故郷の河原に2人座ったりしたら
そしたら"ぼく"と"きみ"になれたかな
なんて空想をして
いたいけな君の歴史を想いながら
瞳に映るのは半袖の君

氷はすっかり溶けていて
ぼくら夏草の上で転げ回って
そうして抱き合い見つめ合うんだ
夏風の仄かな涼しさに
互いの気持ち目一杯託して

千回くらい逢い直したら
いつかはそんな夏が来るかな

もう会うこともない君の
残してくれた夢が眩しい


24/07/20 15:21更新 / はちみつ
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