愛の不可思議
いつしか気がつけば街吹く風が
可愛い女の子を運んできてくれる―
そんな甘い夢を見てしまうくらいには
街は整然とした幸福で溢れてる
すべてがルール化されたシステムの中
探索の作法は手のひらのスマホに全部載ってて
僕らは各々の器に合った作法をつまみ出す
ゲーム感覚のようなトライ・アンド・エラーで
汗水垂らして働く―
そんな美徳は薄れつつあるけれど
心のゆとりを愛へと振り向けることができたなら
自己を歪めることなくきっと謙虚でいられるはず
謎も深みも薄れたリンクされ尽くした世界で
愛の不可思議だけが夜明けの空を翔る
"ハロー、ハロー。
君は今、どこにいるんだい?"
気づけば青くなっている空の下
ディスプレイの儚い照度は君を求めるサーチライトさ
今日という日が
また走り出す
あの規格品のような駅前の百貨店で
いつか最高に可愛いらしく君を撮ろう
*
街吹く風はやさしいのに
ねぇ どうして
俯けば虚無へと呑まれるようで
あの日々とあなたを繋いでるのは
きっといつか手渡したマグカップだけ
そこには私の白々しい笑顔たちが咲いていて
あなたって馬鹿ね
勝手に私を天真爛漫だって思い込んで
そうして勝手に傷き去って
私って馬鹿ね
偽りの自分をとめどなく膨らませて
そうしてとうとう弾けてフラれた
街吹く風はやさしくて
ねぇ どうして
顔を上げれば希望が湧き立つようで
あの日々と私を繋ぐものは
私の手元にはもう何もない
街吹く風はやさしくて
私の胸は何色にだって染められるの
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