鳴けない蝉

焦りを隠し切れない男は

熱帯夜にせかされて

生きる意味を見い出せない 

その一日を思い返してみては

手のひらからサラサラと砂はこぼれ落ち

希望の羽根をいまだ掴めないでいる 

「何かが違う」

違和感の正体は不明だ

でもこの世に生を受けた者なら

誰しもが感じているのではないか

生きているのか 生かされているのか

暑い夜はジリジリと男をせかすばかり

地中の蝉のように「何か」を待っている


24/07/05 21:02更新 / なまこ
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