なにもない
なにもない
書店の片隅のカフェで
珈琲を啜りながら
老眼鏡をかけ
柳田國男氏の「遠野物語」を
読んでいる
たまに本を閉じては
机のうえへ置き
老眼鏡外しては
口許に手をやって
小さく欠伸する
ほんとうになにもない
珈琲がまるで
苦いだけの水だろうが
柳田の活字が読みづらいだろうが
どうでもよい
ただここにいること
昼飯も食べず
腹の虫を聞きながら
昼前の本屋のカフェで
くつろいでいる
ただそれだけのこと
24/06/17 08:55更新 /
秋乃 夕陽
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