Hana

紫色したちいさな花弁がせつなく揺れた
こころの氷が溶け出すころ
なぜか涙があふれ出す
愛という名の箍がはずれ
何もかもが崩れ落ちて
わたしがわたしでなくなるような気がする

あなたの微笑みもなにもかも
わたしの記憶から消し去ることが出来るなら
わたしはわたしでなくなればいい
愛と憎しみの狭間で揺れ動くちいさな花
哀しみの雫が花弁を濡らし滴り落ちる
人はまだなにも知らない

憎しみを越え、愛を育むちからを
いつか花は紅いあかい血で染まるでしょう
偽りの世界に根を下ろし怒りの炎に身を焦がしながら
何千何万ものいけにえ達の呻き声が
大地を揺るがし大合唱するこの地球で
たったひとつか細い根を大地にしっかりと張り巡らして
じっと耐えぬく
ちいさくて可憐な哀しみの花



24/06/10 10:39更新 / 秋乃 夕陽
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