こおりのいえ
氷の上に家が建つ
張りつめた空気の中で
薄く冷たい表皮に覆われた海の上
まっくらやみで何も見えぬのに
何故こんなにやり切れぬ想いで
家を建てねばならぬのか
何時氷が溶け始めるか分からぬ辺境で
割れる音も気にせずただ無我夢中
氷の上に家が建つ
氷柱の鋭き切っ先、家目掛けて落ちてくる
粉吹雪がびゅうびゅう音を立てる
ただそしらぬ顔をすればよいのか
それとも…
ただただ私は唖然としたまま見送るばかり
氷のうえに…氷の上に…
家が傾いて沈んでいく…!
氷の上に家がありました
本当です
誰の助けも借りずに誰にも助けられずに
家はいつの間にか消えていました
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