風船
風船は大きく膨らんでいた
それはまるで
心臓から送り込まれる赤い血漿のよう
どくどくと脈打つ命
風船はいつの間にか萎んでいた
まるで全てを諦めたような
ひしゃげた姿になって佇んでいた
石の飛礫から身を守り風船は物陰に潜む
皺くちゃの泣き出しそうな顔で
体を頼りなくくの字に曲げて
硬い石に体を破かれ
穴だらけとなった赤い風船
情けない姿になりながらも
少しずつ外気を取り入れ
風船はまた体を大きく
膨らませてゆく
24/05/24 19:39更新 /
秋乃 夕陽
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