母、ハルピンへとゆく

まだ夜が明けぬ間にハルピンへと旅立った母
異郷で歌を届ける為だ

新入りだというだけで白い目で見られながらも
欠かさずレッスンへ行き
家事をしながらテープを流して歌を歌っていた
その姿が娘である私には眩しく見えた

今はもうハルピンに着いた頃だろうか

日本とは違う異国で歌う度胸は私にはないけど
どうか無事に成功して帰ってきて欲しい
そしてまた明るいトーンで
私に土産話を聞かせて欲しい

美しいソプラノの音色で
私の知らない思い出話を

24/12/10 10:07更新 / 秋乃 夕陽
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