地獄ヶ淵

深まる闇に誰も気付かず
忍び寄る足音にも
誰も耳を傾けようともしない
偽善の仮面を被った悪魔は
聖職者の身形で白々しく
神の言葉を説いて回る
まるで我こそが真の聖職者なりと
虚栄心を募らせながら
混乱と猜疑心とはますます深まり
心に鞭打たれたような痛みと苦しみも
ますます消えず
混沌としたこの世が消えることなく続く

あぁ、
自分達の逝くべき方向すら定まらぬ限り
さ迷う人々の群れが道を外れて堕落する
神は手を差し伸べる事もせずに
無常にもお見捨てになるだろう
それが人の定めであるかのように
硫黄の雨が降り
天地が真っ二つに引き裂かれても
罪は免れず
朽木の十字架背負い
暗がりの盲人達が行進する
道すがらも行き着く先も
蕀であることを知りながら

逝き場も出口もない無限のループが
彼らを迷わせ困窮させ
全く見出だせない価値を
両手に捧げ持つ現在(いま)
地獄の淵は口を開けて待っていた

24/11/09 16:37更新 / 秋乃 夕陽
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