悪夢のなかの地獄
漆黒の蛇腹をくねらせ
茶色がかった半透明の羽を羽ばたかせ
いやらしく光る複眼と長く伸びた細い触覚が襲い来る
どこにも逃げ場はない
鋭い牙で突き刺され
恐ろしいほど真っ赤な口に飲み込まれるまで
鋭利な毒針が私の胸を突き刺し引きずり倒す
ああ、地獄
悪夢のなかの地獄
わたしは身体中を痺れさせたまま動けず
蟲の腹のなかにおさまる
そこはまだ静かだろうか
無音の暗闇がわたしを包んで
少しでも安らげてくれるだろうか
静粛の夜がわたしの染まった血を清めるとき
蟲ははじめてその赤い唇で嘲笑を浮かべるだろう
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