夢遊する物体
苔むした頑強な石壁は
まるで全てを否定するかのよう
密閉された空間で闇は蝕む
どこから漂ってくるのか
鼻につくような死臭
夢みたすべてを否定するように
まるで白い点のように見える光は
ただの点でしかない
叫びたくとも叫べず
泣くことも
髪をかきむしることも
許されない
体は巨大な蔓で巻きつけられ
少しでも体を動かせば
肌に食い込んでゆく
どこかで歓声が聞こえる
誰かを讃える歌
嬉しそうな笑い声
拍手
勝利を宣言する雄叫び
それは白々しいという言葉が
ぴったり合うような幻聴
大きく首を振るごとに
さらに大音量となって襲い掛かる
息苦しさに口から泡を拭きそうだ
カニのように…自嘲する
見上げても冷たい壁は
何も答えてはくれない
「やはりこれも夢なのだ」
囚人のように
楔に繋がれたままなのだと
大きく項垂れる私は夢遊する
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