キミの体温
黒いソファーに腰掛け
ジッとコチラを見つめてる君
君はいま何を考えているの?
その瞳もその唇も
何かモノ言いたげに僕に笑いかけているけれど
被写体と現実社会との境界線が
強固な壁となって阻んでしまっている
あぁ、君となら眠らない世界で踊っていたいんだ
ずっと
手と手を携え
お互いの温もりを感じながら
優しく微笑む月の下で力強く大地を踏みしめ
生命の歓びを感じていたい
だけど君は真っ直ぐ僕を見据えたまま
瞬きすらしない
口元に浮かべた微笑の影が
僕のココロをまるで草木を揺らすようにざわめかせる
やがて淡き輝きを放つ白い月は
むらくもの暗き闇へと隠れてしまった
哀しみの境界線がふたりの間に引かれて
君はいつしか僕を忘れてしまうだろう
僕とは違う誰か素敵なヒトの手を取って
ますます、僕の手の届かない所へと
行ってしまうだろう
君を想い涙流す日々も
柔かな物腰で僕を包み込む君の慈しみもすべて
過去のものとなり
セピア色に染まってゆく
あぁ、もしこのひとときでも許されるならば
安らかなる温もりを今だけ受け止めたい
君のその静かな炎で身を焦がしていたい
輝く月が私の頬を白く照らす間だけ
君を胸元に引き寄せ抱き締めていられたら
私はもうなにも欲しいものはない
さぁ、君だけにこの詩を贈るよ
そう、君だけに
だから、いますぐ黒光りするソファーから腰を上げ
両手を広げて僕を迎えに来て欲しい
ふたりの未来は決して
どんな障害も乗り越えてゆける強さを持っていると
信じているから
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