雨上がりの使者
雨上がりの風が湿った土と
緑の薫りを舞い上がらせ
柔かな陽射しに溶け込んでゆく心地良さよ
眼を転じればピンクに色付く薔薇の花びらが露に滴り
淫らに揺らめいているよ
あぁ、ヒンヤリと冷たい空気が
目覚めたばかりの太陽の熱に温められて
私の頬を優しく撫であげるけれど
あのヒトの肌の温もりほど
私の感情を高ぶらせるものはないだろう
静かにそよぐ梢も悠々と流れる河も
蒼く輝く空の向こうで佇んでいるはずの
優しい彼の眼差しに気付く事もなく
ただ上機嫌で雨に濡れた大地に微笑みかける
私は白く清らかな雲の隙間に想いを託すよ
どうかこのまま彼の白い翼が
無慈悲な雨風にあおられ
翔べなくなりませんように
晴れ渡るこの空を
自由に游ぎ廻る彼を
これからもココロ密かに
見つめていられるならば
私は一生を掛けて彼の幸せ
ただそれだけを陰ながら祈ろう
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